亡き息子に捧げる

長男が自殺した父親が綴るあれこれです。息子を死に追いやってしまった自責の念は一生残ります。息子が僕に残した「お前の生き方は間違っている」というメッセージを心に刻み、日々もがいている自分の姿をそのまま書き綴りました。

機能不全家族(その5 起業)

親と正反対になってやる

自殺した息子が1歳の時、

僕は起業しました。

僕は人に指図されるのが嫌で

起業したのです。

しかし、指図ではなく

本当は人と接すると

自分の心が壊れてしまうから

人と関わりたくなかったのでしょう。

小さい頃から親から受けた言葉で

人と話すのが恐くなっていたかも

知れません。

そして、起業の本当の大きな意味は、

父親とは正反対の道に進んでやるという

これも「恨み」「憎しみ」が

根底にあるものでした。

学者は家にいる時間が長く、

子供と顔を会わせる時間も多いのです。

それが嫌で嫌でたまらなかった僕は、

家にいる時間が少なく

子供に嫌がられない商売人になりました。

嫌がられないと勝手に決めつけて...

今思えば、こんな動機で会社を作って

なんの意味があるのかと思いますが、

当時の僕には常に親への恨みを

どうして晴らすのか?

それしか無かったと思います。

商売は立ち上げは大変でしたが、

何とか軌道にのったのは

ウェディングドレスを製作、

販売しはじめてからです。

26年間やって結局は倒産したのですが、

その間数千組のカップルは

幸せに出来ました。

しかし、たった一組だけ

本当に不幸にしてしまった

カップルがありました。

それは、

僕たち夫婦、家族です。

他人の幸せに一生懸命携わったのに

自分の家族を不幸にしてしまった僕。

他人の結婚式は沢山祝福したのに

息子は結婚も出来ないで死んでしまった...

息子は何のために生まれて来たのか、

何の意味があるのか、

間違い無く僕の親への恨み心の

犠牲になったのです。

世のため人の為の前に、

目の前の家族を

一生懸命に愛して愛しまくることが

人として一番大切なことなのです。

こんなこと今更わかっても遅い...

ただ、僕の失敗を次男には

繰り返して欲しくないし

僕とは無関係の方でも

親を恨んでいる人には、

僕の歩んで来た道を通って欲しくない一心で

長々と僕の醜態をさらけ出しています...。