亡き息子に捧げる

長男が自殺した父親が綴るあれこれです。息子を死に追いやってしまった自責の念は一生残ります。息子が僕に残した「お前の生き方は間違っている」というメッセージを心に刻み、日々もがいている自分の姿をそのまま書き綴りました。

お寺からの帰り道

一回忌の申込をした日の帰りがけ

車を運転していたら

大きなクスノキを見かけました。

何度も通った道だけど

僕たちは初めてその木に気づいたのです。

道路を右折すればすぐの場所なので、

寄ってみました。

昔は神社の境内だったそうですが、

今は公民館になっていて、

そこに大きなクスノキはそびえ立っています。

その木を見ていると妻が

「虹!」

「虹が出てる!」

そう叫んだのです。

いやもっと声は小さかったかも知れません...

それは丁度息子が眠る

お寺の方向にある山の端でした。

それも半円形ではなく、

山に沿って一直線の短い虹です。

虹を依り代として

息子が現れたのか...?

僕たちを見送ってくれるというのか?

雨上がりでもないのに虹とは...

虹か...

そういえば、息子が中学生のころ

L'ArcenCiel (ラルク アン シエル)

よく家族で聞いていたな...

そんなことも思い起こさせてくれた虹。

僕たちは、何となく、

安らいだ気持ちになって家路につきました。

L'ArcenCiel はフランス語で「虹」という意味